※この記事はYahoo!ニュースより引用しています。
震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震は21日で発生から1週間。被災地では道路などの生活基盤が破壊され、産業も打撃を受けた。両県によると、判明した被害総額は約580億円にのぼる。宮城県栗原市では20日、新たに男性1人の遺体が見つかったが、依然10人が行方不明だ。今も300人強が避難生活を余儀なくされており、生活再建への道筋はまだ見えない。
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■道路寸断
「国道342号の迂回(うかい)路は1本だけ。通れなくなればうちも孤立し、商品の供給ができなくなる」。岩手県一関市厳美町の商店主、佐藤賢吉さん(58)はそう話す。
主要幹線のうち、国道342号の一関市厳美町天王−秋田県境(約30キロ)、同398号の栗原市花山本沢−秋田県境(約25キロ)が全面通行止め。周囲の国道や県道でも通行規制が続く。
一部で復旧工事が始まったが、全体的には進んでいない。宮城県道路課は「大きな余震が来れば、大規模地滑りが起きる可能性がある。現場に入りたくても入れない」。岩手県の担当者も「現場に着く前に大量の土砂が立ちはだかる」。
道路寸断は村落を孤立させ、生活基盤を破壊する。新潟県中越地震で孤立した旧山古志村(現長岡市)では村外に避難した住民が一時帰宅するまでの12日間で特産品のニシキゴイや家畜が死滅し、被害は約75億円に上った。主要道路だった国道291号の完全復旧に約2年費やした。
今回も同じようなことになるのか。全住民が避難した栗原市栗駒耕英のイワナ養殖業、熊谷昭さん(63)は「道が通らないと、魚がどうなるか分からない」と焦燥感を募らせる。
■被害580億
宮城県によると、これまでに判明した農林業を中心とした被害額は約332億円。岩手県は公共土木関連も含め約244億円にのぼる。被害総額はさらに膨らむ見通しだ。
被災地は、農林業と並び観光業も主要産業。
「もうすぐニッコウキスゲの見ごろだったのに…。夏のキャンプ客や紅葉客も今年は受け入れられないだろう」と、栗原市の栗駒山の宿泊施設「いこいの村栗駒」。山は6月末にニッコウキスゲが満開になるため、予約で満室だったが、地震で状況は一変した。
影響は、被害の少ない地域にも及ぶ。
世界遺産登録を目指す中尊寺がある岩手県平泉町のホテル「武蔵坊」では40件以上のキャンセルが出た。フロント係の女性は「『まったくと言っていいほど被害はない』と説明してもイメージでキャンセルされる」とため息をつく。
観光情報学会の会長を務める大内東・北大教授によると、いわゆる風評被害が回復するには2カ月ほどかかる。大内教授は「その間、行政や観光産業従事者は、被害発表だけではなく、被害がなかった場所についても積極的に発表していくべきだ」と指摘する。
■住居確保
「プライバシーがない。風呂も1人で入りたい」。避難指示が出ている栗原市耕英地区の女性(61)の願いは、1日も早い仮設住宅への入居だ。
栗原市では約150人が不自由な避難生活を強いられている。そのうち、仮設住宅への入居希望者(19日現在)は38世帯123人。仮設住宅は23日ごろに着工、3週間ほどで完成するという。県は、県職員の空き宿舎や民間の借り上げ住宅も仮住まいに充てる方針だ。
一方で、「仮設住宅はいらない」との声もあがる。一関市厳美地区から避難してきた11世帯のうち10世帯35人は、仮設住宅ではなく小学校の旧校舎教室での集団生活を希望した。佐藤宮男さん(65)は「仮設住宅で見知らぬ人たちと暮らすより、見知ったみんながいる場所の方がいい」と、これまで培ってきた集落のコミュニティーの必要性を訴える。「市街地での暮らしより、住み慣れた地に近い場所での集団生活を選んだのでは」。市担当者は心情を推し量る。
栗原市でも山間部の住民はコミュニティー意識が強く、「仮設住宅では顔見知りの隣に住みたい」との希望が出ることが想定されている。同市は「最大限に尊重したい」としている。
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